「生涯、虐待を受けている状態」広島の医師が語る非人道性
広島は6日、被爆から76年の「原爆の日」を迎える。医師で広島大名誉教授の鎌田七男(ななお)さん(84)は、広島で長年被爆者の診察や治療に携わる一方、爆心地から半径500メートル以内で被爆した78人の継続調査に取り組み、生涯にわたってがんの発症などに苦しむ姿を見つめてきた。その経験から「被爆者は生涯、虐待を受けている状態にある」と、核兵器の非人道性を訴える。 「練習台にされたんや」49発の“模擬原爆” 旧満州(中国東北部)で生まれ、戦後、福岡県田川市の高校から広島大医学部に進学。1962年、同大原爆放射能医学研究所(現原爆放射線医科学研究所)に入り、同大病院の被爆内科で診療を始めた。被爆者に多かった白血病などの治療法は限られ、「(診察を始めて)1カ月もせずに亡くなった人もいた」。 72年、爆心地近くで被爆した人を対象とした継続調査の中心メンバーに選ばれる。協力した78人のうち29人が被爆当時、20歳未満。調査は被ばく線量の推定や血液検査、生活状況や心理的症状など多岐にわたった。 がんで死亡する人は「日本人の3人に1人」(厚生労働省)とされるが、20歳未満で被爆した人は約75%に達する。原爆で親や兄弟を亡くし、結婚して幸せをつかんだ直後に発症した被爆者もいた。複数のがんが重複して発症し、生涯にわたって苦しめられている人も。現在の生存者は5人になった。 2000年に広島大を退官した後は、高齢の被爆者たちが暮らす「原爆養護ホーム」の園長などを務め、現在は広島原爆障害対策協議会が運営する医療機関の非常勤医師として被爆者の診療を続けている。 17年からは地元のNPO法人が主催する講座で、一発の核兵器が生き残った被爆者をいかに苦しめているかを解説している。「(調査に協力した)78人の主治医として被害を次世代に伝えたい」と力を込める。 (坪井映里香)

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